2008年6月8日日曜日

アニェス・メロン

第22回古楽コンクール<山梨>(2008年4月26-27日)の審査員として来日した フランスのソプラノ歌手、 アニェス・メロンのマスターコースが催されました。

 レッスンは、昼食と短い休憩をのぞいて、ひとり1時間でとっても充実した内容 。昨日も含めて14人中13人がフランスバロックの声楽曲を歌ったのです。それにしてもフランス語で歌える人が こんなにいたなんて! レベルも高くてビックリ(*.*)

第1日(4月28日、13;00-19:00)
第2日(4月29日、9:00-19:00)

 最初の受講生はリュートの弾き語り。まだ歌は始めたばかりということで、 声のコントロールがまず必要という話に その後、 ランベールのエール・ド・クールと ラモーのオペラのアリアが続きました。 同じアリアを2人が歌ったのですが、 同じ曲でも個性が違うところは、まさにバロック! でも、順序が逆だったら良かったのに 最後に、モンテクレールのカンタータ ディドンの死 ドラマティックで大好きな作品。 ヴァイオリンのオブリガート演奏までついて贅沢!

最後の人はリュリのオペラ「アルミード」の有名なモノローグ。 先生も絶賛!  まるで舞台俳優みたいな表現力に加えて 声量があり、愛と義務の板ばさみになって苦しむ魔女の心の揺れ動きをみごとに表現していました。

☆発声法
 メロンさんは、ベルカントではないバロック独特の発声法を指導。とくに装飾音をつける場所を詳細に教えていました。 ともかく先生が歌うと、「フランス・バロック!!」という香りが漂います。とくに装飾法や声楽での発声法など、とても勉強になりました。 表情も豊かで、話声や見本の歌を聴くだけでも、うっとり。

のどや唇のまわりを固くしないでリラックスさせ、 頭の上方、とくに鼻に息をぶつけるようにするとか、ハミングして鼻から息を出す練習など 。のどの奥を開けるが、口を大きく動かす必要はないそうです。

 基本テクニックを扱わないで教えるのは難しいと言いながら、それでも発声や発音を少しずつ指導していました   外で聞いていた受付の人によれば、最初は静かだが、 どんどん声が聞こえてくるとか。

  私は9時半頃に着いたのですが、とても綺麗な声が外にいても響いていました。中に入ると、歌の人が棒をもっています。どうやらヴィブラートがかかりすぎるので、それをつかないようにする練習をしていたようです。

 驚いたのは、声が細くてきれいだけれど、声量のない人が、先生の指導でどんどん響きのある声に変ったこと。 本人によれば、大きな声を出しているかどうかはわからないけれど、自分がスピーカーになったみたいだと。でも客席で聞いていると、素晴らしい響きが出ていて、バロック音楽に必要な表現力が大幅アップしてました。

メロンさんがお話なさった、実際に歌の練習に入る前にすべきことをまとめると
(1)歌詞を何度も読み上げ、言葉のリズムを体得する リュリもラモーも作曲する前に何度もテキストを読み、気に入らない時は書き直させることもあったとか。 先生は、電車や飛行機の待ち時間も利用するそうです

(2)強い音節と大切な言葉を探す ロマン派の歌では旋律の流れを大切にするが、 バロックでは言葉を何よりも優先する 個々の言葉(偽善者、怒り、愛、魅力)によって、  子音の発音法、声の色彩なども違ってくる

(3)旋律をゆっくりと丁寧に練習する 装飾のない旋律はありえない。フランス独自の装飾法をマスターするには3年くらいかかる。

ここに書いたのは、レッスンのごく一部。 
ところが藤壺は、レッスン通訳をしていたので詳細なメモがとれませんでした(泣)

☆アニェス・メロン
 1981年に声楽アンサンブル(P.ヘレヴェッヘのシャペル・ロワイヤル、 W.クリスティのレザール・フロリサン)で活動を開始、その後ソロ歌手として活躍中。レパートリーの中心はフランス・バロック音楽で、現在まで60枚以上のCDが発売されています。1997年にアンサンブル「バルカロール Barcarole」、2005年には自身の演奏と教育経験を集大成するプロジェクトとして「アッカントAccanto(歌うことの傍らで)」という協会を設立。また、京都フランス音楽アカデミー、パリ高等音楽院、多数のマスターコースで教授をつとめています。

☆第22回古楽コンクール<山梨>
 詳細レポートが古楽情報誌「アントレ」6月号に掲載されています

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